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治療や生活へのサポート

こころの病気への助成

こころの病気により、通院による継続した治療を受ける場合、外来への通院、処方薬、訪問看護、デイケアなどについて、健康保険の自己負担のお金の一部を公的に支援する制度があります。

自立支援医療(精神通院医療費の公費負担)

目的

こころの病気で通院による継続した治療を受ける場合に、医療費の負担が多くなることがあります。この制度は、そのような医療費の軽減を図ることを目的として創設されました。

対象となる方

何らかの精神疾患により、通院による治療を続ける必要がある程度の状態の方が対象となります。
対象となるのは全ての精神疾患で、次のようなものが含まれます。

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • 不安障害
  • 薬物などの精神作用物質による急性中毒又はその依存症
  • 知的障害
  • 強迫性人格障害など「精神病質」
  • てんかん

など

医療費の軽減が受けられる医療の範囲

精神疾患・精神障害や、精神障害のために生じた病態に対して、申請書に記載され認められた医療機関や薬局等で、入院しないで行われる医療(精神療法、薬の処方、デイケア、訪問看護、検査など)が対象となります。

※精神障害のために生じた病態とは、精神障害の症状である躁状態、抑うつ状態、幻覚妄想、情動障害、行動障害、残遺状態等によって生じた病態のことです。

【注意】次のような医療は対象外となります。
入院医療の費用
公的医療保険が対象とならない治療、投薬などの費用
(例:病院や診療所以外でのカウンセリング)
精神疾患・精神障害と関係のない疾患の医療費(身体疾患やケガ等の通院)

医療費の自己負担

1か月当たりの負担には上限を設けています(これに満たない場合は1割)。上限額は、世帯※1の所得に応じて異なっています。

※1 ここでいう「世帯」とは通院される方と同じ健康保険などの公的医療保険に加入する方を同一の「世帯」として捉えています。

生活保護世帯 0円
市民税非課税世帯 申請するご本人の
年収80万円未満
2500円
申請するご本人の
年収80万円以上
5000円
市民税課税世帯 市町村民税額
(所得割額)
3万3千円未満
重度かつ継続
「該当」
5000円
重度かつ継続
「非該当」
医療保険の
上限額による対応
市町村民税額
(所得割額)
3万3千円以上
重度かつ継続
「該当」
10000円
重度かつ継続
「非該当」
医療保険の
上限額による対応
市町村民税額
(所得割額)
23万5千円以上
重度かつ継続
「該当」
20000円
重度かつ継続
「非該当」
医療保険の
上限額による対応


さらに、統合失調症などで、医療費が高額な治療を長期間にわたり続けなければならない方(本制度では「重度かつ継続※2」と呼んでいます)は、1か月当たりの負担限度額が低くなります。

※2「重度かつ継続」の対象者
「重度かつ継続」の対象となるのは、次のいずれかに該当する方です。
  • 医療保険の「多数該当」の方(直近の1年間で高額な治療を継続して行い、国民健康保険などの公的医療保険の「高額療養費」の支給を4回以上受けた方)
  • 1~5の精神疾患の方(カッコ内はICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)による分類)
    • 症状性を含む器質性精神障害(F0)
      例)高次脳機能障害、認知症 など
    • 精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
      例)アルコール依存症、薬物依存症 など
    • 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
    • 気分障害(F3)
      例)うつ病、躁うつ病 など
    • てんかん(G40)
  • 3年以上精神医療を経験している医師から、情動及び行動の障害又は不安及び不穏状態を示すことから入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む)が続けて必要であると判断された方

手続き

申請は市区町村の担当窓口で行ってください。市区町村によって、担当する課の名称は異なりますが障害福祉課、保健福祉課が担当する場合が多いようです。
申請に必要なものは概ね以下の通りですが、自治体により異なる場合がありますので、詳しくは市区町村の担当課や、精神保健福祉センターにお問い合わせください。
申請が認められると、「受給者証(自立支援医療受給者証)」が交付されます。

受給者証の有効期間

受給者証の有効期限は、原則として1年です。
1年ごとに更新が必要になります。更新の申請は、おおむね有効期間終了3ヶ月前から受付が始まります。また、治療方針に変更がなければ、2回に1回は医師の診断書の省略ができますので、詳しくは申請した市区町村にお問い合わせください。

本制度で医療を受けられる医療機関や薬局について

本制度による医療費の軽減が受けられるのは、各都道府県又は指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション)に限られています。
精神科の医療機関等の多くは「指定自立支援医療機関」となっていますが、利用されている医療機関等が対象となっているかどうかは、医療機関におたずねいただくか、精神保健福祉センター、都道府県、指定都市等の担当にお問い合わせください。

医療を受けるときには

本制度で医療を受ける際には、交付された、「受給者証(自立支援医療受給者証)」と、自己負担上限額管理票を、受診の度に、医療機関にお示しください。

高額療養費制度

入院や外来治療などのため、かかった医療費が高額になった場合、ご自身の所得の状況に応じた自己負担限度額を上回った金額について、高額療養費として、加入している医療保険から後日支払ってもらうことができます。

自己負担上限額の確認方法

70歳未満の方の場合(70歳以上の方は別の計算式があります)

区分 自己負担限度額 4回目以降※2
1.上位所得の方※1 150,000円+(かかった医療費の総額-500,000円)×1% 83,400円
2.中間的な所得の方(1、3以外) 80,100円+(かかった医療費の総額-267,000円)×1% 44,400円
3.住民税が非課税となっている方 35,400円 26,600円
※1 国民健康保険加入の方の場合は総所得金額が600万円、健康保険加入の方の場合は標準報酬月額が53万円を超える方
※2 直近12ヶ月間に高額療養費の支給を3回以上受けている方は、4回目から自己負担上限額が引き下げられます。

申請窓口・申請方法

ご自身が加入している医療保険によって申請方法や申請に必要な書類が異なります。
詳しくは、保険証に記載してある保険者(※注)に確認してみましょう。

申請に必要なもの

病院や薬局で支払った際の領収証が必要になります。 その他必要な書類については、加入している保険者にご確認ください。

申請から支払いまで

申請を行ってから3ヶ月程度で、自己負担上限額を上回った金額について支払われます。

その他

入院により、あらかじめ医療費が高額になると推測される場合は、事前に申請することで窓口の支払いを自己負担限度額までとすることができます。[→限度額適用認定証の交付]
また、高額療養費の払い戻しを受けるまでの期間、高額療養費の8割から9割にあたる金額について無利子で借りることができる制度もあります。[→高額療養費貸付制度]
詳しくは、加入している保険者(※注)にご確認ください。

保険者とは
会社の健康保険組合、協会けんぽなど、保険証を発行しているところ。保険の種類によって異なりますので保険証を確認してください。国民健康保険の場合は市町村です。

都道府県の心身障害者医療費助成制度(重度心身障害者医療費助成制度)

心身に重度の障害がある方が保険証を使って病院に受診した場合の自己負担金について助成する制度です。都道府県や市区町村が実施しているもので、精神障害者保健福祉手帳の所持者が対象となっているかどうかは、自治体により異なります。

対象と内容

お住まいの都道府県、市区町村によって、対象となる障害の程度や、助成の内容も異なっています。

障害の程度としては、身体障害者手帳1級・2級及び内部障害3級、療育手帳A、特別児童扶養手当1級受給資格者などが対象となっている場合が多いようですが、市区町村によっては、精神障害者保健福祉手帳1級所持者なども対象となっている場合があります。

また、受給には所得の制限がある場合が多いようです。
詳しくはお住まいの市区町村の障害福祉課などに問い合わせてみましょう。

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