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医療計画

こころの病気(精神疾患)は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と同様、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病(5疾病)とされています。ここでは医療計画の基本的な考え方を紹介します。

 

医療計画とは

医療計画は、医療圏の設定や病床数、病院や救急体制の整備について都道府県が策定する計画であり、医療機関の適正な配置や医療資源の効率的な活用などを促進するため1985(昭和60)年に開始されました。2007(平成19)年に施行された改正医療法では、日本の医療提供システムにおいて重要とされる「4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)・5事業(救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)」に関して、必要な医療機能、医療機関等の名称を都道府県の地域医療計画に掲載することが義務づけられました。
精神疾患が医療計画に加わったのは2013(平成25)年度の第6次医療計画からです。第6次医療計画からは、「5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)・5事業および在宅医療」となっています。 

 医療計画では、各都道府県を医療圏単位で区分けし、各医療圏の現状や目標が記載されます。医療圏は、小さな規模から一次、二次、三次が設定されており、医療計画は二次医療圏を中心に立案されます。二次医療圏は、健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域で、一般に複数の市区町村で構成されています。
精神科医療に関しては、身体科医療の医療圏とは異なる範囲で「精神医療圏」あるいは「精神科救急医療圏」が設定されることもあります。その他、「障害保健福祉圏域」など、目的に応じた複数の圏域が設定されますが、これらの圏域の整合性や連携体制のあり方については、現在でも必ずしも定まっておらず、今後整理していく必要があるかもしれません。 

 

精神疾患の医療体制について

「精神疾患の医療体制の構築に係る指針」では、精神疾患の医療体制の構築に必要な事項として、以下の2つが挙げられています。

  • 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築
    地域住民の精神障害者に対する理解促進及び適切な初期支援の実践に向けた効果的な普及・啓発の促進
    精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、市町村等との重層的な連携による支援体制の構築
    本人の意思の尊重と、ICFの基本的な考え方を踏まえながら、多職種協働による支援体制の構築

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  • 多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築
    都道府県は、多様な精神疾患等ごとに対応できる医療機関を明確にするとともに、専門職の 養成や多職種連携・多施設連携の推進のため、地域連携拠点機能及び都道府県連携拠点機能の強化を図るように努める
    多様な精神疾患等ごとに都道府県連携拠点機能を有する医療機関が1箇所以上あることが望ましい

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データの活用

精神疾患の医療計画の策定においては、データを適切に活用する必要があります。
医療計画の指標に関連するデータは、以下のリンクより参照することができます。

ReMHRAD - 地域精神保健福祉資源分析データベース
精神保健福祉に関する資料