依存症
「依存症」とは
依存症は、日々の生活や健康、大切な人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにも関わらず、特定の物質や行動をやめたくてもやめられない(コントロールできない)状態となってしまいます。
依存症にはアルコールやニコチン、薬物などに関連する物質依存症とギャンブル等の行動や習慣に関連する行動嗜癖があります。これらは、特定の物質や行動を続けることにより脳に変化が起きることにより症状が引き起こされる病気で、本人のこころの弱さのために起きている現象ではありません。
日本では、アルコール依存症:約10万人、薬物依存症:約1万人、ギャンブル等依存症:約3,000人が病院で治療を受けています。依存症は本人も依存症と気づいていないことが多いため、患者さんの数と治療者数の間に大きな差が生じているのです。
依存症の特徴と症状
依存症の特徴として以下のようなものがあります。
- やめたくてもやめられない(コントロールできない)
「今日だけは止めよう」とか、「これで最後にしよう」などと心に誓ったり、周囲に約束したりしても、ついやってしまう。
「ほどほどにしよう」と思っても、適当なところで切り上げることができない。 - 慢性・進行性
放置すればどんどん進行し、やめることで進行は停止するが、長くやめていてもかつてのコントロールを取り戻せない。 - とらわれ・のめり込み
自分の中の大切なものの順位が変化し、家族・仕事・将来設計等、生活の全てに優先してのめり込んでしまう。 - 問題を否認する
借金・家庭内の問題などの現実を見ない、事態の過小評価、事実を認めず攻撃的になる等。 - 家族を巻き込んでしまう
家族が悩み、依存症者に注意する一方、借金の肩代わりを行う等の目の前の問題解決に奔走し、身体面・心身面・金銭面で疲弊していく。
依存症のサイン
依存症は病気の一つで、適切な支援や治療を受けることが重要です。「(家族や知人、自分が)依存症かもしれない」と思ったら、保健所や精神保健福祉センターに御相談ください。依存症について正しい知識と理解を持つことが、当事者の方を支援や治療につなげる一番の近道です。
アルコール依存症
- 内臓などの健康問題が生じているのに、飲酒をやめたり、飲酒量を減らしたりできない。
- 飲酒酩酊時に暴力や暴言をくりかえしているのに、飲酒をやめたり、飲酒量を減らしたりできない。
- 車を運転するときや仕事中など、飲酒すべきではないときにも、飲酒してしまう。
- 隠れて飲酒する、飲酒に関して嘘をつく。
薬物依存症
- 薬物使用によって様々な医学的・社会的な問題を生じていても、薬物使用をやめない。
- 逮捕によって社会的な問題となるリスクがわかっていながら、薬物を使い続けている。
- 処方薬や市販薬などの医薬品を、本来の目的とは異なる意図から、あるいは、本来指示された服用量・頻度で使用している。
- そうした医薬品を入手するために多くの時間と費用を使っている。
ギャンブル依存症
- ギャンブルをするときには予算や時間の制限を決めない、決めても守れない。
- ギャンブルに勝ったときに、『次のギャンブルに使おう』と考える。
- ギャンブルをしたことを誰かに隠す。
- ギャンブルに負けたときに、すぐに取り返したいと思う。
依存症の治療・支援
もしも依存症を疑ったら
依存症は病気の一つで、適切な支援や治療を受けることが重要です。「(家族や知人、自分が)依存症かもしれない」と思ったら、保健所や精神保健福祉センターに御相談ください。依存症について正しい知識と理解を持つことが、当事者の方を支援や治療につなげる一番の近道です。
依存症の治療
依存症の治療には個別の精神療法や認知行動療法的な考え方に基づく集団精神療法や自助グループへの参加などがあり、アルコール依存症では抗酒薬や飲酒量低減薬などが用いられることがあります。一方で、これらは依存症に対する特効薬となるものではありません。ご本人にあった治療方法で治療を続けることが重要です。
また、依存症は、治療の過程の中で、物質の使用や特定の行動をやめたり減らしたりできていたとしても、些細なきっかけで再使用してしまうことがあります。しかし、これは依存症という病気の特徴ですから、ご本人のこころの弱さによるものではありません。たとえ、再使用してしまったとしても、あきらめず、再び治療を始めることがとても重要です。
なお、お住まいの地域における依存症の相談窓口や専門医療機関の情報は、依存症対策全国センター・ホームページの「全国の相談窓口・医療機関を探す」(https://www.ncasa-japan.jp/you-do/treatment/treatment-map/)から検索することができます。
関連リンク 依存症対策全国センター ホームページ SMARPP(依存症集団療法)を実施している医療機関・精神保健福祉センター